東北学院榴ケ岡高等学校

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年頭所感

2015年01月06日

実によって木を知る

 
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    榴ケ岡高等学校
    校長 湯本良次


 新年明けましておめでとうございます。
 2015(平成27)年の年頭にあたり、今年も在校生、保護者、教職員、同窓生の方々のご多幸をお祈り申し上げ、より充実した1年が迎えられるよう祈念申し上げます。
 さて昨年は榴ケ岡高校同窓会の創立40周年にあたり、故久能隆博校長の追悼集『今を生きよ』を発刊し卒業生の方々から励ましと多くの支援をいただき厚く御礼申し上げます。また、ダンス部が昨年8月の全国ダンスドリル選手権で僅差の2位となり、今年の3月にアメリカロサンゼルスの国際大会に出場することになります。榴ケ岡高校同窓会を始め、東北学院同窓会、学校法人東北学院からも支援を頂き感謝申し上げます。大会では榴生らしい元気で躍動感ある演技を披露してもらい、本場アメリカで技術を学ぶことはもちろん同世代との交流も深め、充実した大会を希望します。
 タイトルはマタイ福音書七章一五節に『実によって木を知る』から引用したものです。今年の干支は「ひつじ、未」です。もともと羊は未を分かりやすくした意味で、『説文解字』によると「味」(み:「あじ」の意味)で、果実が熟して滋味が生じた状態を表しています。「未=実」としてもあながち間違いではないから、今年は未年で実年(みどし、希望が実現する年)とプラスに考えても良い。さらに聖書は「偽預言者たちは羊の皮を身にまとって近づくが、その内側は貪欲な狼であると言っている。茨からぶどうが、あざみからいちじくが取れることはない。すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ。あなたがたはその実によって彼らを見分ける。」とあります。東北学院の卒業生および学生・生徒・園児らは良き木に成る実であります。そこに働く教職員は神から託されたミッション(使命)を覚え、良き木を育て良き実が結ぶよう研究、教育、事務として職務にあたっています。
 教育を取り巻く環境は急速に変化し、世界に後れを取らないよう多くの施策が出されている。キーワードは「知識基盤社会」、「グローバル化した社会」、「教育の質の確保と保証」である。知識基盤社会はインターネット等の情報化社会に対応できる人材の育成とその素養・能力の促進がテーマである。携帯電話利用者が急速にスマートフォンに変化し、その便利さの裏に個人情報の漏えい、犯罪被害、ネット依存症など様々な問題が現れており、科学技術者の要請が求められている。また、インターネットは国境の垣根をなくし、グローバル化は当たり前の時代となっている。英語教育も大きく変化し四技能(読む、書く、聞く、話す)を取り入れた授業が行われています。英語教員は日々の教材研究に苦労しています。既に本校は1981(昭和56)年より海外研修を始め32回を数え、英語科教員の引率で成果も表れています。今後は身近なアジア圏との交流も視野に入れた幅広い研修も必要と考えています。教育の質の確保と保証は、少子化が進行し入学希望者と大学定員との差がない状態、つまり全入に近い状態が続いています。大学を選ばなければ猛勉強しなくて入れる時代となり、高校も大学もそして社会も学力低下という大きな問題を感じています。各大学とも教育改革を行い、魅力ある大学づくりと同時に大学入試の方法も大きく変えてきています。
 このように大学や社会の大きな変化は初等中等教育の改革にもつながり、一昔前とは様変わりです。教育の「不易と流行」はいつの時代にもあり、特に私学は建学の精神を拠り所にして教育を行っております。東北学院は建学の精神である福音主義キリスト教に基づき、「地の塩、世の光」、「3L精神」をモットーに教育を行い、その実は卒業生の活躍に表れております。東日本大震災から4年を経過し、この大災害を風化させることなく常に世界に発信し続けて行く教育機関でもあります。東北学院という木の枝につながる皆さんが良き実となるようご活躍、ご期待を祈念し年頭の挨拶といたします。